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2004年5月〜2008年4月

(上が新しいもの、下が古いものです)

『神無き世界の英雄伝』

北方三国志 3・4・6・7・8・9・10・11・12・13

『あおぞら』 『頭がいい人、悪い人の話し方』
『頭がいい人の習慣術』 『キッパリ!たった5分間で自分を変える方法』
『ミリオネーゼの仕事術 入門』 『夢をかなえる人の手帳術』
『お嬢様言葉速習講座』 『銀の海 金の大地』 4
『オトナ語の謎。』 『三国志新聞』
『爆笑三國志』 5 『正史 三国志英傑伝』 1 魏書 上
『ほぼ日刊イトイ新聞の本』 『スリーウェイ・ワルツ』
『マークスの山』 『白夜行』
『ネット王子とケータイ姫』 『亡国のイージス』
『夏と花火と私の死体』 『「祇園」うちあけ話』
『夢の中の魚』 『スリー・アゲーツ』
『陸遜』 『運命の輪が廻るとき』
『江のざわめく刻』 『ハリー・ポッター大事典』
『そしてまた 波音』 『旋風は江を駆ける』 上下
『月の影 影の海』 上下 『銀の海 金の大地』 10
北方三国志 1・2 『火車』
『麦の海に沈む果実』 『プラチナ・ビーズ』
『天の華・地の風』 2 吉川三国志
『世界の中心で、愛をさけぶ』 『鎮火報 Fire’s Out』

更新日

タイトル 著者名 出版 その本について一言

2008.04.27

 『神無き世界の英雄伝』 1・2 鴨志田一 電撃文庫

 スペースオペラという説明文がついている。人民共和国より企業連盟が分離独立するまでが1巻、その人民共和国が銀河連合統合軍に攻め入られ、人民共和国に助けを求められた企業連盟が銀河連合統合軍に対抗するのが2巻。ひとつの戦艦に宿り、その艦隊全体を統率することが可能な電子妖精という存在がおり、企業連盟の二つの戦艦のそれぞれの電子妖精が主と選んだ若者、大企業の御曹司ロイと元コックということ以外素性不明のレンが主人公。

 銀英伝と比べながら読んでしまうんじゃないか、と心配だったけれど、これはこれで楽しめたと思う。宇宙を舞台に戦争をするというのは同じだけれど、戦艦同士の戦闘がビームの撃ち合いではなくて白兵戦に近いこと、戦場が三次元で繰り広げられていることなど相違点も多く、盛り上がった。
 個人的によいと思ったのは電子妖精。どの子も可愛い女の子の姿をしていて、礼儀正しく、頭脳明晰、主絶対。私にも一人欲しい。

2007.06.17

 『三国志』 3・4・6・7・8・9・10・11・12・13 北方謙三 角川春樹事務所

 一部再読。5巻はたまたま図書館になかったので飛ばす。
 無敵を誇っていた呂布が、遂に捕らえられる。処刑されたことを遠く離れた赤兎が感じ取る場面がぐっときた。今まで読んだ三国志では呂布は見苦しく死んでいくのが多かったような気がするので新鮮な感じ。
 呂布だけでなく、いい役回りだなと思うのは張飛。汚れ役を引き受けてはいるけれど根は優しくて、部下の男の子にも厳しく当たるが、男の子はその張飛が教えたからだろうっていうような成長をし、根性を見せて討ち死にした場面には感動した。 
 孫策については、笑ったのが、身分を偽ろうと咄嗟に名乗った名前が「周策」だったこと。もっとひねろうよ…。
 周瑜は容態の悪化していく過程が丁寧に記されていて、素直に可哀相だなと思えた。
 赤壁の後の劉備の蜀取りの部分は、他の三国志を読んでも源氏の須磨帰りのごとく飛ばしていたのだけど、これは面白かった。五斗米道をやっつけるという名目で軍を出し、取って返して成都を落とし、やってきた曹操40万の軍をも退けて諸葛亮絶好調。すごいよ。しかし呉の裏切りまでは読み切れず、関羽は破れる。私の読みが甘かったと言う諸葛亮に、味方の裏切りまでも考慮していたら作戦が成り立たないとフォローが入っていた。確かにその通り。
 途中、作戦の見通しが悪くてあせる諸葛亮に対して劉備がたしなめるところがあった。殿は落ち着いている、という諸葛亮に対して劉備は「お前が取り乱しているからだ。私が取り乱したときにはお前が落ち着いていればいい」というやり取りがあってちょっとほのぼの。けれど可愛さからではあるが関羽に叱られっぱなしだった関平があわれ。
 夷陵の戦いのところはもともと好きなところでもあるので何度読んでも面白い。特に北方のは陸遜の心情を丁寧に描いてあるので陸遜ファンとしては嬉しい。が、戦の仕方について悩む陸遜に、韓当が「あなたの義父上も戦の天才だった」と鼓舞する場面があり、それに対して陸遜の直接の心情は描いてなかったけれど、励ましの言葉として陸遜が素直に喜ぶかと思うとものすごく可笑しかった。確かに陸遜は孫策の娘婿だけれど、孫策のことを義父上なんて呼ぶようなことはまったく想像できない。陸遜は孫策のことが大嫌いだけれど、そうしたほうがいいからというだけの理由で嫌々孫家に下ったというのが私のイメージだから、親族を示す語彙で結びつく関係は事実であってもどうもピンと来ない。第一義父っていうと、「お義父様!娘さんを僕にください!」「んだとぉ!ざけんじゃねぇ!」みたいなベタなやり取りを考えてしまうよ。関係ないけど実際二人が戦ったらどっちが勝つんだろうなという疑問はある。孫策は突撃のプロ、陸遜は迎撃のプロだから面白い勝負になるはず…って、「義父上」からどこまでひっぱってるんだ私は。
 終盤の諸葛亮で、亡き劉備を思い出して「殿、孔明は頑張っています」なんて心の中で報告しているのが切ない…っていうか、いっそ可哀相っていうか、可愛いかった(笑)。
 趙雲は最後まで無難に格好よかったのだけれど、死ぬところだけはイマイチぴんと来ず。「男の別れだ」って言われてもね…男の人だったらぐっとくるのかなぁ。謎だ。
 諸葛亮の命が尽きたところで北方三国志は終了。うん、面白かった。

2006.11.01

 『あおぞら』 星野夏 ポプラ社

 18歳の女の子の手記。何度もレイプされることがあり、売春や下着売りをして男を馬鹿にしようとして平静を保とうとするが心は傷付いていて、ことあるごとに簡単に翻弄されてしまう。後に心の拠り所となる彼氏が登場するが、その彼氏も事故で死んでしまう。

 本屋で立ち読み。まず手に取ったのはこの本が小説ではなくて当人が書いているということから。事故で意識を失っている彼氏を思って折鶴を折る場面は涙をこらえるのが大変だった。最後に著者は「皆のお陰で私は生きている」と締めくくるが、そういうプラスの言葉が出てくるまでどれだけの葛藤があったのだろうと思う。世の中を恨み倒すだけの人生となる可能性も大いにあっただろうに、そうしないと自分で決心しているところに考えさせられた。
 著者は特にいい子ぶって書いているわけではないが、彼女の身そのものを心配する友人がいて、彼女もそのありがたさを分かっていることから真っ直ぐな印象を受ける。そんな彼女の遭う目はあまりにも理不尽。性暴力が男性の悪意で簡単に成り立ってしまう現実に改めてそら恐ろしさをおぼえる。

2006.01.28

 『頭がいい人、悪い人の話し方』 樋口裕一 PHP新書

 「頭の悪い人の話し方」の部分は自分に当てはまることが多々あり、非常に耳が痛い。
 各章についている「周囲の人の対策」については、例えば「上手におだてて腹の中で笑い、口先だけ合わせて機嫌をとっておくべき」といったようにかなり実用的なアドバイスなので笑えた。 

2006.01.27

 『頭がいい人の習慣術』 小泉十三 河出書房新社

 書いてあることはためになるのだが、引用が多いせいか著者の意見というよりも同じテーマで書いている巷の本をまとめたという印象を受けた。 

2005.11.05

 『キッパリ! たった5分間で自分を変える方法』 上大岡トメ 幻冬社

 自分に自信を持つことができなかった筆者が、どうやって自分を変えていったか。小さなことから少しずつということで、本当にちょっとしたことだけど実行するといい感じである行動の仕方が書いてある。イラストレーターでもある筆者がネタごとに四コマにまとめているのでそれだけ読んでも面白い。

 役立った項目は「脱いだ靴はそろえる」「今日出したものは今日中にしまう」。前者はありがたいことにこの本のお陰で習慣に。後者は会社の机の上を片付ける癖がついて自分のスペースはほぼ一貫して綺麗な状態になった。

2005.11.05

 『ミリオネーゼの仕事術 入門』 秋山ゆかり著 イー・ウーマン編

 結婚に失敗し、ラップを買うお金すらなかった筆者がどうやって年収1000万円を稼ぐようになったのかその心構えと具体的に行ったことについて。

 この筆者のすごいところは非常に計画的に短期間で自分を成長させたところだろう。まずは強引に高い目標を決めてしまい、後はそれを達成するにはどうするかを考えて行動に移している。ただ…結構具体的に書いてはあるのだが、著者の携わった仕事が私には馴染みのないビジネスのせいか、「私にもできるかも?」とは残念ながら思えなかった。

2005.11.05

 『夢をかなえる人の手帳術』 藤沢優月 Discover

 手帳の使い方に関する本はたくさんあるけれど、これを選んだのは自分がハッピーになるような夢や目標をいかに叶えていくかについても言及してあったから。「やりたいこと」と「やるべきこと」を書き出すんだけれど「やりたいこと」のほうを必ず上位に書くのがポイント。

2005.11.05

 『お嬢さまことば速修講座』 加藤すゑ子監修 Discover

 いわゆる「お嬢さま」の丁寧言葉の指南書。

 使い方はもちろん、えせお嬢さまと見破られないための小手先テクニックも記載してある。そのため語りもすべてお嬢さま言葉であるにも関わらずノリは意外と馬鹿っぽくて楽しめる。たとえば単語の頭に「お」や「ご」をつけるという項目で、紅茶とコーヒーが例に挙げられ、どちらがよいかと訊かれた場合の答え方。「お紅茶」とは言うが「おコーヒー」とは言わないため、紅茶が好きでない場合はお嬢さまになるのをあきらめたほうがいいという開き直った解説に爆笑。

2005.06.23

 『銀の海 金の大地』 4 氷室冴子 コバルト文庫

 再読。和の言葉の響きの美しさを求めて久しぶりに手に取る。

 真秀のたくましさはもちろんだけれども、真澄が力を振り絞って真秀を守ろうとするところとか、どれだけ真秀が大切かを告げるところなんかはすごく感動してしまった。でも一番好きな場面は、真秀の手から発した炎が地面を一直線に伝って燿目を襲うところ。何ていうか、ダイナミック。

2005.06.23

 『オトナ語の謎。』 糸井重里監修 ほぼ日刊イトイ新聞編 新潮文庫

 ヒロコさんより。社会人が主に会社で使う言い回しを面白おかしく解説したもの。

 自分が会社で実際に使ってるものもあれば知らないものもあった。ところどころで真剣に勉強になる部分も。その中でサザエさんの歌をお詫び文書にまとめたものには爆笑。思い出しても笑える。

2005.06.05

 『三国志新聞』 三国志新聞編纂委員会編 日本文芸社

 会社の人より。正史をベースにして出来事を新聞形式にまとめたもの。

 借り物であることもあって、さすがに全部読むのは辛いので孫策と陸遜をチェックしてあとはパラパラと。こういう形で正史が読めるととても調べやすくて助かる…是非自分で一冊持ちたい本。古本屋で探すことにしよう。ちなみに「曹操、四十にして大いに惑う」という見出しには大爆笑だった。

2005.06.05

 『歴史人物笑史 爆笑三國志』 5 シブサワ・コウ編 KOEI

 会社の人より。三国志の登場人物を演義、正史のどちらもネタにして面白おかしく解説した本。

 企画の中では「三国志これがナンバーワン」がおもしろかった。「セクシーな男」部門で一位は呂布。えっそうなの!?呂布の容姿についてはあまりはっきりしたイメージが沸かないのだけれども。二位は周瑜。喀血がセクシーポイントに挙げられていたのには笑った。孫策がノミネートされていたのは「元気印」と「壮絶な死に様」部門…これはまぁ納得。意外だったのは「変態」部門に趙雲が入っていたこと。「女よりいくさが好きなのはよくない」というコメントに吹いた。

2005.04.12

 『正史 三国志英傑伝』 1 魏書 上 陳寿著 裴松之注 『中国の思想』刊行委員会編訳

 無双4ですっかり曹丕のファンになったので、一度元ネタをチェックしておこうと思ってゲット。曹丕以外でも記載のある人はいい機会だから目を通してみる。

 《曹操》
 孫策が江東平定に大忙しだったころ、曹操もやはり華北で大忙しだったらしい。劉備や呂布とゴタゴタしてたのはこの頃だったのか…。
 「三十余年にわたって軍を指揮したが、その間、書物を手から離したことがなかった」のは素晴らしいの一言。曹丕も自叙の中で曹操について同様のことを書いており、その中で曹操の言葉を引用している。「若いころ学問を好めばそれに集中できるのだが、おとなになって学んだものはすぐに忘れてしまう」…イタタタ(笑)。その上で自分は学び続けるぞと曹操は言っている。曹操でさえそうなんだから、凡人の私はもっともっと勉強しないといけないなぁ。
 ところで諸葛亮が二喬と銅雀台を持ち出して周瑜を刺激したエピソードは演義の創作らしい。史実かと思ってた。
 それから無双でお馴染みの「絶影」が曹操の馬だと初めて知った。「影をとどめぬほど速い、の意」らしい。格好いいねぇ。

 《曹丕》
 陳寿の評が微妙で笑えた。乱暴に要約するとこう。「文帝(曹丕)は文学にすぐれ、武術にもたけている。これに大きな度量を加え、徳を身につければ古代の名君に近付くことができたかもしれない」。…歯切れの悪い言い回しだなぁ。日本語訳の問題か?でも曹操は「時代を超越した英傑」、曹叡にしても「君主としての風格を十分身につけていた」と書いてくれてるのに。陳寿は本当はボロクソに書きたかったと見るべきか、脈はあったと見るべきか。
 曹丕は自叙の中で「わたしは若い頃、両手で武器を使うのが得意で…」と書いている。すると無双4の双刃剣は分離しているほうが彼の本業なのだろうか。でもそれをくっつけた製作者に私は拍手を送りたい。あの双刃剣の曹丕、むちゃくちゃ格好いいから。

 《曹叡》
 この本のシリーズ、女性の項目がないんだよね…。「生母の甄后が文帝の怒りを買って死を賜った」のこの辺を詳しく読みたいんだけど。

 《董卓》
 正史を読むと「実はそうだったんだ」って感じで自分勝手なイメージを修正することは多々あるけど、董卓の場合は「やっぱりそうだったんだ」って感じ。本当に悪逆非道だったんだ。

 《袁紹》
 名門の御曹子であることはともかくとして、「しかし決して高ぶらなかった」との記述に笑った。そうだよね、無双の袁紹は無双だけの袁紹だからねと当たり前のことを今更のように納得してしまった。…が、最初にこう書いてあったものの、やっぱり高ぶった人だったのか?

 《袁術》
 孫策が出てないかなと期待したけれども特に記述はなし。残念。

 《劉表》
 孫堅は袁術の命令で劉表を討ちにいって死ぬことになった…という確認のみであとは流す。

 《呂布》
 まずは呂布の生まれや育ちから記述が始まる。「呂布は主簿(文書係)として丁原にたいへん可愛がられた」…文書係?呂布か?想像できない…。
 丁原や董卓を斬るところは非常に淡々と記載してある。貂センが関わるほうがドラマチックでおもしろいなというのが正直な感想(貂センが実在しないと初めて知ったときは本当にびっくりしたよ…)。赤兎は呂布の馬として出てくるけれども董卓に与えられたとは書いてない。これも創作か。
 あと、結果として有効なことをしようとしてるのに妻に言われて取りやめている記述がいくつかあった。こういうところは素直というか何というか。

 《公孫サン》
 趙雲が出てないかな思って読むと、「三国志演義では」という断りつきで劉備らに紹介されたとあった。これも演義だったのか…。

2005.04.12

 『ほぼ日刊イトイ新聞の本』 糸井重里 講談社文庫

 ヒロコさんより。HP「ほぼ日刊イトイ新聞」の開設と維持に関わる奮闘記。

 自分もサイトを立ち上げてはいるが、参考というよりは「そういうのもアリかぁ」って感じで読んだ。ちなみにガンジーさんのエピソードは泣きそうになった。

2005.03.13

 『スリーウェイ・ワルツ』 五條瑛 祥伝社

 ヒロコさんより。北朝鮮の工作員である女性が突如日本に姿を現した理由が、16年前の事件の真相とともに徐々に明かされていく。

 この工作員の由沙が格好いい。腕はもちろんいいし、頭がよくて計算高くて目的のためならなんでもやる…けれどもその目的が結構切ない。後半の恭祐の成長もちょっと感動したけど、やっぱり由沙だろう。女はこのくらい逞しいほうが気持ちいい。

2005.03.12

 『マークスの山』 上下 高村薫 講談社文庫

 会社の同僚より。最終的に登山が関わってくるサスペンス…と要約するのはいくらなんでも乱暴か…。

 有名どころなので押さえておこうと思ったけれども、情報量が多すぎて読むのは少しきつかった。全部把握した上で読めたらすごくおもしろいんだろうと思うけど…。

2005.01.15

 『白夜行』 東野圭吾 集英社文庫

 ヒロコさんより。カバーの文面によるとジャンルはミステリ。初めは単に巻き込まれただけに見えた二人の子供が実は事件の中心にいることが、その周りの人の視点を通じて徐々に分かってくる。

 中盤くらいから裏で糸を引いている人物を想像することができるようになった。実は仕組まれていた、と次々と判明していく過程が面白かった。が、最後まで暗い話だった。

2005.01.09

 『ネット王子とケータイ姫 悲劇を防ぐための知恵』 香山リカ+森健 中公新書ラクレ

 タイトルを見てこの本を手に取ったのは、私自身ネット中毒とまではいかなくても、その予備軍ではあるだろうという意識があるからだ。ネット依存、あるいは携帯依存になっているこどもたちがその電子機器とどのように関わっているのか、それに対して大人はどう向き合えばよいのか、ということを提示してある。

 まず携帯に関しては、メールのレスのタイミングについての記述が興味深かった。携帯を一刻も手放せない少女達の間では、メールにはすぐにレスをするのが常識で、それによって良好な関係が継続していることを確認するそう。
 これを読んで以前に友人と話をしたことを思い出した。その友人も私も事務連絡以外の携帯のメールにはレスはないのが当たり前で、メールをもらっても返事を書かないし、逆に相手に送って返事が来なくても全く気にならない。しかしそうでない別の友人と同じように接してトラブルになったことがあり、「世の中には返事をしないと怒る人がいる。我々の常識は通用しない」という結論に至った。この場合は依存がどうのというより単に礼儀の解釈の違いのような気がしないでもないが、結局は「レスがない」というのは「あなたのことが嫌いだからレスをしない」という負のメッセージを伝えることになるからこういうことに。なので「メールをもらったらすぐにレスをしないといけない」というのがちょっとした脅迫観念になり、また来るはずのメールが来ないことで孤独を認識させられてしまうそうだ。ものぐさでレスをしない私がこういう常識のできあがっている社会にもし放り込まれたらと思うとぞっとする(っていうかそっちが常識…?)。

 ネットについては、ネットの危険性を危惧した大人による、ネットそのものをこどもから遠ざけるという動きの紹介から始まる。しかし現実で得られない居場所をネットに見出したり、難病と戦うこどもがサイトを開設しそれを励みに頑張っていたりとネットの存在に肯定的なケースもあるのでネットをすべて規制するというのもおかしいと筆者は述べている。

 ただ実際にネットが悪影響を及ぼすかどうかについては今のところ科学的な根拠を示すことができないので、あるともないとも言えないそうだ。しかしこどもにとって有害である情報は規制しなくてはいけない、という動きはすでにある。その一つが「青少年健全化法」で、「青少年にとって『有害』とみなされるコンテンツに対して、風呂敷的に包括規制するのが狙い」とのこと。しかしこれに関しては「作品の受け手側のリテラシーやモラルが問われるべきものを、作り手側の責任としているところに、この法案の曖昧な危険性がある」と筆者は言う。
 何かことが起こったとき、それがあるものからの影響であると分かったとき、悪いのは作り手か受け手か。くされとは言え、書いたものをネットに出している私にとっては結構切実な問題だ。自分が受け手として人様のものを読むときは、「私は悪いことはしないから、その暴力的なの見せて」って感じで読んでいるので、自分も含めて受け手の責任だと思いたいところだけど…。その責任の取れないのがいわゆるこどもなんだよね。…うむぅ、今の私にこれ以上は言えないな。もっと考えます…。

 ちなみに、以前に読んでショックを受けた『ゲーム脳の恐怖』の反証もあった。ゲームをし続けるとアルファ波の高い痴呆のような状態になるとあるが、アルファ波ベータ波はともに正常な脳波でまた簡単に入れ替わる、よってこれは誤った仮説であるとのこと。でも、根拠はなくても丸二日くらい寝る間も惜しんでひたすらゲームやってたら、確かに頭が馬鹿になったような気はするけどね。

2005.01.01

 『亡国のイージス』 上下 福井晴敏 講談社文庫

 ヒロコさんより。国家の論理で息子を失った自衛官が、テロリストと手を組んで護衛艦を乗っ取り、最悪の化学兵器を切り札にして日本政府に要求を突きつける。第一印象は『沈黙の艦隊』。

 怪しい行動を取っている行はやっぱり××で…と明かされたと思った次に来た大どんでん返しにやられたと思った。物語はここから一気に面白くなる。仙石の言葉が実は行に届いていて、仙石が行を逃がそうとし、行がその意図を察して行動を起こすところは個人的にすごく盛り上がった。その後は、解説の言葉を借りればまさに「七転八倒」で、読みながら不屈の仙石に何度もエールを送ってしまった。そして最後のほうで息子の声を聞いた宮津にはほろりとした。
 ちなみに萌えポイントは、護衛艦上でヨンファがジョンヒを後ろから抱きしめて、ジョンヒがその手に自分の手をそえるところ。やっぱり兄×妹はいいねぇ。

2004.10.30

 『夏と花火と私の死体』 乙一(おついち) 集英社文庫

 殺され、死体となった少女の一人称を中心に進んでいく物語。犯人である妹を庇う兄が、何とかしてその「私の死体」を隠し、処分しようとする。

 短めであるっていうのもあるけど、「どうなるんだろう」と先が気になって一気に読める。死体が見付かってほしいとも、見付からないでほしいとも思えない宙ぶらりんな感じが何とももどかしい。そして嫌なオチだった(ハッピーエンドは在り得ないだろうけど)。
 しかし、これ16歳で書いたってすごいよ、作者。

2004.09.27

  『「祇園」うちあけ話 お茶屋のこと、お客様のこと、しきたりのこと』 三宅小まめ 森田繁子 PHP文庫

 ヒロコさんより。祇園で舞妓・芸妓をしていた方二人の語りによる祇園紹介。全然知らないジャンルなので、「お花に出る」とか「水揚げ」とか初めて聞く言葉は文脈から判断。花かんざしを月ごとに変える習慣が素敵。

 面白いなと思ったのは、「祇園では心中がない」ということ。全てを賭ける恋をするんじゃなくて、芸を磨き自分を磨きながらときどき恋をしてときめきを楽しむ…という考え方が書いてあった。そういう風に言われると、すごくいいとこ取りのような気がする。
 森田繁子さんの言葉の「わたしの人生哲学、『なにくそ』どっせ」には笑ってしまった。いいね、こういう生き方。
 ちなみに三宅小まめさんは明治43年生まれ…で現役!?

2004.09.18

 『夢の中の魚』 五條瑛 集英社

 ヒロコさんより。『スリー・アゲーツ』の続きなのかな。先の二冊でも出てきた韓国人スパイが主人公。日韓の漁業問題を軸にして、主人公の洪(ホン)は日本で独自の情報網を作り上げていく。洪は自分の目的を、自分の中で最優先事項に位置づけている。職業意識と夢と希望と生きがいを一緒くたにした仕事ぶりがあっぱれ。

 一気に読めるかと思ったが、八割くらいのところで、ハッと気が付いた。坂下がいないじゃないか!(←そこか)

2004.09.08

 『スリー・アゲーツ 三つの瑪瑙』 五條瑛 集英社文庫

 ヒロコさんより。『プラチナ・ビーズ』と同じく、平たく言えばスパイ小説。工作員であるチョンが、北朝鮮と日本の両方にいる家族を何とかして救おうと行動する。ラストの合言葉と娘が泣き出すところはちょっと感動。そして吹いてくる風を自分自身の演出に使うエディに大爆笑。

 久し振りに三国志関係以外の本を読んだって感じ。しかし坂下が銃の手入れをしているところは、何気に黙々と弓の手入れをする秘本の孫策を連想してしまった。

2004.08.17

 『陸遜 孫権を支えた呉の大軍師』 太佐順 PHP文庫

 著者によると、正史と演義の中間の部分を書いたとのこと。一冊かけて陸遜の一生を追ってあるレアな本。
 陸遜は呉の将来を思う忠義あふれる将として描いてある。繰り返し出てくるのは情けは人のためならずという「巡り合わせ」。

 んで感想はというと、正直、ど、どうなんだろうって感じ。私が読み込まないのが悪いんだろうけど、著者は陸遜の心情を匂わせるだけで、はっきりとは書いていない部分が多いので読んでてもどかしい。例えば孫策の娘を娶るところ。「孫家の一族として名をつらねたのだ。自分の将来がゆるぎないものになったことを、陸遜は当然ながら重く受け止めたはずであった」…その胸のうちは、喜怒哀楽の、どれ?(いや自分で考えればいいんだけど)
 でも「袁術ミカン事件」とか、まだ自分がチェックしてない事柄を確認していけたのはありがたかった。
 それにしても、陸遜が立派な人格者であることに感嘆した官吏が、「伯言どのは何て素晴らしい方だ!私は嬉しすぎて琴が弾きたくなりました!(←乱暴な要約)」と言うところには笑った。どういうテンションなんだ。
 ちなみに、微妙に陸遜×孫尚香。

2004.07.27

 『運命の輪が廻るとき』 朝香祥 角川ビーンズ文庫

 時間的には『旋風は江を駆ける』の少し前くらいで、孫策17歳。
 袁術の犬になるのかとじりじりする孫策に対して、襄陽を攻める志を見せる孫堅が格好良かった。その孫堅が討たれたことで、襄陽という都市が、良くも悪くも変化する可能性を失ったという、劉表の部下たちの言葉がなかなか意味深。
 孫堅の死に衝撃を受ける孫策を訪ねての、周瑜の発する言葉は、「慰める」という単語では陳腐すぎてくくれない。むしろ「説得」に近い形で孫策の心を解放するのがむっちゃイイ場面。
 そして最後のほうの周瑜が去っていくところで、孫策の「その時は、くるな」という二重の意味を込めた問いに対して、「はい」と一言で答える周瑜はキマったー!って感じだった。イイぞ、イイぞ周瑜!ただ、ここは、後で再会するってことを考えれば、とても気持ちのよい別れなのだが、孫策が志半ばで倒れることまで考えれば、逆にやりきれないものを感じる。
 それにしても、この巻でも周瑜の「楽師になりたい」という夢の話が出てくる。それを出されると、この巻の後の時間で琴を弾けなくなる周瑜の姿がやたらと痛々しくなるなぁ…。

2004.07.18

 『江のざわめく刻』 朝香祥 集英社コバルト文庫

 場面は、赤壁前の、柴桑会議の、ための根回しイロイロ…といったところか。冒頭の孫策の死から最後まで、一気に読めた。会議のすったもんだで、こんなに盛り上がるとは(笑)。中でも、見所は、ズバリ。

 周瑜に翻弄される諸葛亮。(←強調)

 「おのれ諸葛亮!」と言って悔し涙を飲むばかりが周瑜じゃないのよっ!…と思いっきり叫びたい気分。
 それはそうとして、煙たがられたり、責められたりして、傷ついてないわけじゃないのに、黙って笑うのが相変わらず痛々しい周瑜。なので小喬のフォローには和んだ。
 でも一番好きな場面は、と訊かれると…やっぱ「序」だろうな…。孫策は死の間際に周瑜のことを考える。お互いが遠く離れたところにいるゆえに情報には時間差が発生している。だが周瑜は最後の孫策の問いかけを虫の知らせとして受け取る。なんともせつなくて目が離せない感じ。ここだけ無駄に何回も読んでしまった。ていうか、暗記するまで読みたい。読むぞ。
 ちなみに、まだ山越討伐をしている陸遜も登場していた。可愛いv 酔いつぶれて周瑜に膝まくらなんかしてもらってるよ…いいなぁ(するほうも、されるほうも・笑)。 

2004.07.17

 『ハリー・ポッター大事典』 寺島久美子 東洋館出版社

 会社の先輩より。ハリー・ポッターシリーズ1巻〜4巻対応の用語集。3巻までしか読んでないので、気になる項目だけパラパラと。呪文の語源とか、関連伝承とかが興味深かったかな。

2004.07.11

 『そしてまた 波音』 銀色夏生 角川文庫

 ヒロコさんより。写真つきの詩集。こういうのを読んで心を洗えばいいんだけど、腐った目で見るもんだから、気に入ったフレーズがあると真っ先に思う…こんな感じの陸遜ドリーム誰か書いて〜!

2004.07.10

 『旋風は江を駆ける』 上下 朝香祥 集英社コバルト文庫

 孫策と周瑜の話で、孫堅死後から江東平定の辺りまで。
 全編通して!初めから最後まで!孫策が出てるっ!「出た、死んだ」って感じの扱いじゃなくて!孫策ファンの私にとってはそれだけで高笑いですよ、殿!(←誰だ)。

 そしてその隣で平然とした顔をしながら実は血を吐くほど苦労している周瑜がまた素敵。穏やかで頭が良くって、それでいてガツンと言うところは言って。基本的には理性の人なのに、ときどき隠した感情があらわになっちゃうんだけど、孫策がズボラなために伝わらなくて、あるべきフォローがなかったりして結構大変な目に。いやでも本当に素敵なのよ、こういう周瑜像っていいなぁと思った。

 あと、少年呂蒙が可愛いかった。そして呂範がオイシかった(笑)。

2004.07.10

 『月の影 影の海』 上下 小野不由美 講談社X文庫ホワイトハート

 再読。十二国記シリーズの最初の1、2巻。ちょっと痛い話が読みたくて、手に取った。主人公は初め、ひたすら状況に流され、途方に暮れては泣いてばかりだった。だが様々な経験を経て、徐々に筋道を立てて考えることができるようになっていく。同時に、主人公の不安そのものである蒼猿の言葉に対しても、根拠をもって反論できるようになる。この成長の過程がとても面白い。また、他人との折り合いを、理性によってつけていくのも読んでいて心地よかった。

 その中で、他人に裏切られたことに対して、割り切ることを覚えた主人公の「自分は人に最大限に優しくされないといけないのか」という疑問は耳に痛かった。
 また、終盤で水禺刀の見せる幻に思い出したくない自分の姿が映ったとき、主人公は一度は幻を切り離そうとする。だが、その自分の姿は事実だと思い直して、直視する場面がある。見たくないものを見るのは、決して愉快な作業ではないため、後回しになりがちだからだ。それでも目をそらしてはいけないと考える主人公の言葉も痛かった。

2004.06.20

 『銀の海 金の大地』 10 氷室冴子 集英社コバルト文庫

 最初から最後までクライマックス、ってくらいの盛り上がり。滅びの子は実は…というどんでん返しはおおっ!て感じだった。

2004.06.20

 『三国志』 1・2 北方謙三 角川春樹事務所

 印象に残ったのは呂布かなぁ。黒ずくめに赤いアクセント(見てみたい…)とか、妻の瑤にメロメロなとことか。

2004.06.19

 『火車』 宮部みゆき 新潮文庫

 会社の同僚より。宮部みゆきは初めて。タイトルが面白いなーと思ったのは、借金に苦しめられた女性が、別の人生を歩むために他者の戸籍を乗っ取って…という話だったから。ジャンル的には推理小説だけど、トリックがどうのというより、犯罪のバックグラウンドから攻めていく感じ。うん、面白かった。

2004.06.12

 『麦の海に沈む果実』 恩田陸 講談社

 ヒロコさんより。隔離された学校に行くことになった主人公。不明であった彼女の空白の時間が徐々に明らかにされ、最後に彼女は自分自身を取り戻す…なんて私が書くとチープになるのが残念。ジャンル的にはミステリかホラー、テーマはおそらく自分探し系。そして久々のヒット作品。

 主人公の年齢は14歳。高年齢の主人公が好きな私の中でその点がマイナスにならなかったのは、初めのほうの「こんなところで暮らしていたら、自分の作り出したイメージに溺れてしまうのではないだろうか」と、主人公のつぶやく場面が気に入ったからだろう。通常、自分の見てる世界でしか世界を見れないわけなんだけど、自分勝手なイメージの度合いが高ければ高いほど危険なのは分かる。そういう意味で、この主人公の危惧するところが共感できた。一度共感できてしまえば、年齢は気にならない。

 共感できた部分は他にもある。例えば、到着した主人公に、校長は好きな音楽や好きな色など、質問を次々とあびせる。それに答えながら主人公は「今まで自分が気付かなかったものが自分の中からどんどん引き摺り出されているような気持ちになり、戸惑いをおぼえた」。この場面は後の記憶喪失の伏線なのだろうけど、それとは関係ないところで気に入った。自分自身に関する質問は、私も苦手だからだ。何故かというと、自分の中で理由もなくそうなっていることを、それ以上、あるいはそれ以下で受け止められるのが嫌だからだ。ましてや自分でさえ気付いていない部分を、悪い意味で相手が気付くのは最悪だ。社交辞令でも訊かれそうなことは、あらかじめ答えを準備しておいたほうがいいよなぁと思う。もっとも、会話経験が乏しい(答えた経験が少ないから答えに自信が持てない)というのが一番の問題なんだろうけど。

 また、主人公はおとなしめで、無駄に群れるよりは一人で本を読んでいるほうが好きなタイプで、何かにつけて自信が無い。分かるなぁ、と言ったら友人は笑うだろうか。

 こんな感じで主人公に感情移入をして読んでいったため、ラストはとても痛快だった。

 自分は何者で、何ができるのか。それが分からないゆえに不安定だった主人公は、最後にそれを理解する。無力だと思っていた自分が、本当は実力者だったことが分かる。主人公自身が持っている能力そのものは変わらない。変わったのは、主人公が、それを持っているということに気付いたというただ一点だけだ。だがラストでの主人公は自信に満ち溢れていて、それまでの自己イメージを完全に覆している。

 主人公を自分と重ねて読んでいれば、それはそのまま自分自身にも起こり得るかのような気になるのが心地良いのだ。
 あるとき、主人公の友人が主人公を評して言う。「ぼんやりしてるようで鋭いし、何も気が付かないようで気が付いてる」。自分はぼんやりで、何も気が付かないと思っている人間にとって、こういう言い回しはとても夢がある。
 そして夢と言えば、自分自身に対して、この主人公のラストのような、劇的な変化を望んでいたこともあった。今では自己嫌悪と後悔を繰り返してちょっとずつ進むしかないと分かっているつもりだけど、この物語の主人公を自分に置き換えることで、本当の素晴らしい自分が実はあるんじゃないかというな気になって、それを愉快だと思うのは不健全だろうか。

 追記:ここの項目だけちょっと暗いかな(苦笑)。主人公のブラックな豹変振りがよかった、ってぐらいの意味です。

2004.06.11

 『プラチナ・ビーズ』 五條瑛 集英社文庫

 ヒロコさんより。スパイ小説…なのかな。ヒロコさんも日記に書いていたけど、冒頭がとっても素敵。あと人間に対する評価で、葉山の「自分にとっての好印象を表と受け取り、そうでないものを裏とする」っていうのが面白いかなと。船に乗り込んでからが一番盛り上がったと思う。
 …って、ショボい感想でごめん、ヒロコさん。葉山のネクタイを指ではじくエディに「何じゃお前は」と突っ込みたくなった、とか書いたほうが良かった?(←後で訊いたら不要だそうです・笑)

2004.06.10

 『天の華・地の風』 2 江森備 光風社出版

 再読…なんだけど…。何が悔しいかって、折角張ってある伏線も、生きてくる頃には忘れてるってことと、それを踏まえた上での台詞が、意味深過ぎて意味が分からないこと。もっと頭の冴えてるときに読まないとだめかも。

2004.06.06

 『三国志』 1〜4 (吉川英治全集24〜27) 講談社

 印象に残ったところを、箇条書きで書き付ける。

 まず序盤。
 初対面の劉備と趙雲。「その笑みを見て、趙子龍も、/『やあ』/ニコと笑った」…可愛いっ!無双3の趙雲がニッコリとしたのを想像してしまったので、しかもそれが結構ツボだったので、ここの部分だけ何回も読み返してしまった。
 演技派という言葉も生ぬるい貂センの一連の策謀。読んでて抜群に盛り上がった。ここまでやるなら董卓と呂布の屍を踏んで生きてほしかった。
 ときどき派手に負ける曹操。でも転んでも、ただでは起きないというか、散々に負けても何かしら糧とするのはさすが…というか見習いたい。
 袁術からの「味方になれ」という使者に持たせた孫策の返書。「乞う、首をあろうて待て」…言ったよ!格好いいなぁ!
 目玉を食べた後、片眼で敵を睨む夏侯惇…今更だけどスゴイ迫力だ。
 劉備をもてなすために、貧しいがゆえに妻の肉を料理した主人…オイオイと思ったら、ちゃんと後で注がついていた。

 中盤だと。
 曹操を討つ連判状に署名した直後、曹操に呼び出された劉備。龍だと評された返答は「龍は龍でも、頭に土のつく龍のほうでしょうか」…面白い切り返しだ。劉備でもうひとつ。初対面の単福に声を掛けるところ。劉備「まことに唐突ですが、あなたと私とは、路傍でこのまま相へだたってしまう間がらではないような気がしてなりません」単福「ははあ…?」…本当に唐突だよ、なんちゅうナンパの仕方。
 登場から早速仕切りまくる孔明…これも今更だけど、ホントに28歳の若造か?
 長坂坡の趙雲。見よっ!この勇姿!この忠義!野に満つる敵の中をただ一騎で駆け抜ける!誰も止めることなどできぬ!彼こそは音に聞こえた常山の趙子龍なりぃぃっ!…と思わず宣伝して叫びたくなるほど格好よかった。ここに限らず、趙雲の見せ場は結構多い。『天の華・地の風』の言葉を借りればまさに敵中突破のプロフェッショナル。うむ、さすがだ(by劉備@無双3)。突っ走りながら敵をズバズバー!味方を救出ー!ってのもいいけど、定軍山のところで曹操を迎え撃つにあたって、陣門を開かせ鼓をやめさせ、趙雲が一人で槍を携えて敵前に立つ場面もまた良い。「まったく鳴りをしずめた城内から壕橋へかけて、戛々と、ただ一騎の蹄の音が妙に高く聞えた」…情景が目に浮かぶよ!もー!格好ーいーいー!
 それから孔明の登場から周瑜の死までの一連のこの二人の掛け合いが盛り上がった。赤壁の辺りってやっぱ面白いよね。

 赤壁の後から終盤にかけては。
 まず呂蒙の陸遜評。「陸遜に足らないものは地位、名声、年齢などでありますが」人望才徳、機略遠謀は兼ね備わっているとのこと。ううう素敵。
 関羽の仇討ちに燃える劉備に、和睦を説きに行こうとする諸葛瑾。それに対する呉の人の反応は冷ややか。なぜなら諸葛瑾が行って成功したためしがないから…って、使命のほうに問題のある場合が多々あったのでは…こういうのを苦労性と言うのか。
 夷陵で、はやる諸将を諌める陸遜。この場面、読むたびに思うんだけど、本当に陸遜はよく粘ったと思う(陸遜を交代させなかった孫権もだけど)。初めから「討って出るな」と命令したとき、陸遜には結末が見えていたのか。そもそもどんな思いで命を受けたのか。もし死者と話ができるなら、是非陸遜に訊いてみたい…けどそれは無理なので、また北方あたりを読んで気を紛らわせるか…。
 孔明にきりきり舞いされられる司馬懿。あわれな…というか、笑った。

 吉川三国志、感想を一言で言うなら、趙雲株急上昇、これに尽きるかな。

2004.06.02

 『世界の中心で、愛をさけぶ』 片山恭一 小学館

 会社の同僚より。う〜ん…微妙だ。ヒロコさんじゃないけど、読む前に「泣ける話」という情報を得てしまったのがよくなかったんだろうか。なんとなく『いちご同盟』を思い出してしまった。

2004.05.28

 『鎮火報 Fire’s Out』 日明恩(たちもりめぐみ) 講談社

 ヒロコさんより。消防士の兄ちゃんが主人公の小説。なんか、消防士の方の仕事ぶりが分かるのが面白い。終わりのほうの場面で、自殺しようとしている男性を、主人公がヤケクソで説得するところは結構感動。市民の皆様の、非協力的な態度については身につまされる思いだった。それにしても…裕二の母親の話は、本筋ではないけど、嫁であることのデメリットの極地で重すぎ。でもそこを特に重いと感じるのは、一応女として人ごとではないと思うからなんだろうな…。

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