上つ瀬
《終》
憶えてるわ、伯符さまに向かって矢をつがえていた人。 弓を引き、憎しみをぶつけようとしていた。 誰か大事な人の仇を取ろうとしていた。 ええ、その気持ち、よく分かるわ。 大事な人を失った怒りも、悲しみも分かる。 その敵意を形にすることも。
でもだめ。 この方に何かするのはだめ。 この方は私の大切な人だから。
陸家に生まれたことを呪い続けてきたけれど。 それもあなたに会うための道であるなら。 私は耐えることができる。
もし生まれ変わったら。 もう一度陸家に生まれましょう。 それであなたに会えるなら。 そしてあなたの代わりに矢を受けましょう。 何度でも、そうしますわ。
ねぇ伯符さま。 私はあなたを探しにいけないかもしれない。 だから私を見付けてくださいね。
でも、それは、ずっと先のこと…。
あの…ヒロイン死んでないですからね、念のため(汗)。 『みちるもの』と何か色々かぶってるような気もしますが、その辺りはご容赦くださいませ(汗)。 タイトルの『上つ瀬(かみつせ)』というのは川の上流のことです。上流から下流に向かうのを時間の流れになぞらえてみたのですが遠回しすぎて訳分からないですね〜。
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