ゼネテスの贈り物
ゼネテスとノーブル伯は冒険者同士。その武器でモンスターを相手にすることも多いことから、お互いに日々鍛錬のため、手合わせをすることもしばしばです。弓をつがえたノーブル伯の姿を思い浮かべながら、ある日、ゼネテスは思いました。 「なんだかんだ言って俺のほうも世話になってるからなぁ。たまには、いっちょプレゼントでもしてみるか」 ゼネテスは早速、道具屋へ行き、あれこれ悩んだ末に、矢をプレゼントすることにしました。自分との手合わせのときに、必ず彼女は何本か駄目にしてしまうからです。ゼネテスはその道具屋で、尾羽も立派な上等の矢の束と、あと個人的に、控えめな表現をすれば滋養強壮剤であるものを幾つか購入しました。 ゼネテスはノーブル伯宛てに簡単なメッセージを書き付けると、二つの包みを持ったまま、リューガ邸に向かいました。あいにくノーブル伯は不在だったので、執事のセバスチャンに預けようかとしていたところ、向こうからレムオンが歩いてくるではありませんか。 「やべぇ。俺からのプレゼントだってわかったら、間違いなく握り潰されちまうぜ」 ゼネテスは、とにかくノーブル伯に渡してくれと、包みとメッセージをセバスチャンに押し付け、レムオンが気付く前に立ち去りました。ですがゼネテスはこのとき、慌てていたため、渡すべき包みを間違えてしまいました。主人の性分をよく心得ているセバスチャンは、まずレムオンに報告し、その包みとメッセージを渡しました。 「ファーロスのどら息子から、我が妹へ、だと?」 レムオンが包みを開けると、滋養強壮剤が何本か入っていました。そしてメッセージには、次のように書かれていました。
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